みつば行政書士事務所
暴力団が出入りしている部屋の賃貸借契約を解除したい
こんにちは。行政書士の瀬野です。
週刊ダイヤモンドで、ボールペン1本で客を逃した営業マンという記事を見ました。
その営業マンは、初対面の打ち合わせの場で、前日宿泊したビジネスホテルのボールペンを出してメモを取り始めたそうです。それを見た相手側は、ああ、この人(=この会社)に頼むのはやめよう、と思ったというエピソードなのですが、確かにこれは一理あると思います。時々、「外見なんか関係ない、中身で勝負しているんだから!」と言う人が居ますが、ビジネスの場においては外見が今一つな人の中身まで誰も興味はありません。ここで言う外見とは美男美女という意味ではなく、清潔感と多少の高級感、つまり ”きちんとしている” という雰囲気です。スーツ、カバン、手帳、名刺入れ、ボールペンなど意外と相手方は観察しています。この様な誰でも対策出来る基本的な所で損をしない様に、自戒を含め気を付けたいものです。
さて本日のご相談は「暴力団が出入りしている部屋の賃貸借契約を解除したい」です。
早速見てみましょう。
Q:私はマンション経営をしています。先月から入居しているAさんの部屋に、暴力団関係者が複数出入りしている様だと管理人から連絡が入りました。色々調べてみると、実はAさんはY組の暴力団員であり、貸した部屋は暴力団事務所として使用されていることが判明しました。私自身、この様な例は初めてで、暴力団と聞くだけで恐ろしいです。波風を立てず穏便に出て行ってもらうにはどうしたら良いでしょうか。
A:その部屋の周りの人たちの安全の為にも、出来るだけ早くAさんとの賃貸借契約を解除して、その居室を明け渡してもらう必要がありますね。
手順としては、まず事実関係の確認を行います。今回の場合は、暴力団事務所として居室を使用しているとの事ですので「用法違反」に該当します。それ以外に何が条項違反に該当するのか、Aさんと交わした賃貸借契約書を見ながら順次確認していきます。ちなみに、その契約書に暴排条項を明記していましたか?
Q:ぼう・・・はい?って何の事ですか?
A:暴排条項とは、暴力団排除条項を略した呼称です。
暴力団の様な反社会的勢力が、取引先や株主となって不当要求を行う場合の被害を防止するため、契約書や取引約款に暴力団排除条項を記載するのです。具体的な記載例はネットで検索すると沢山出てくるのでここでは省略します。暴排条項を入れておくと、スムーズに賃貸借契約違反による契約解除が出来ます(信頼関係が破綻していることも証明できる)
Q:契約書にその様な条項は入れていませんでした・・・。
後、Aに貸している部屋にはA以外の複数人も同居しているらしいのですが。
A:それであれば「占有移転禁止の仮処分」を検討するのが良いでしょう。
賃借人のAが、他の第三者に勝手に占有名義を移転させない様に、占有移転禁止の仮処分決定を得た上で明渡請求訴訟を提起します。
ただ、ほとんどの場合は、占有移転禁止の仮処分決定が出た時点で出ていくと思われます。もしそれでも出ていかない場合に明渡請求訴訟を提起すれば良いのです。仮処分決定は、手続開始から2週間程度で出るので早めの対処として有効です。
