みつば行政書士事務所
手付け倍返しによる解除の阻止方法
こんにちは。行政書士の瀬野です。
南鳥島周辺の海底に、世界需要数百年分(1600万トン)のレアアースが眠っていることが明らかになったそうです。ものすごい量で、ちょっと理解がし難いですね。レアアースと言えば、ハイブリッド車や電気自動車、風力発電機などの強力な磁石、LEDの蛍光材料といった多くの最先端技術に使用されますが、中国への依存度が高い点がかねてより問題視されていました。レアアース世界生産の8割を占める中国は、最近、違法採掘の取り締まりや環境規制の強化を推進しています。その為、レアアース工場の操業停止が相次ぎ供給不足である中での、かなり明るいニュースです。
さて本日のご相談は「手付け倍返しによる解除の阻止方法」です。
早速見てみましょう。
Q:私は、長年住んでいる借家を、土地付きで家主から買い取る話を進めていて、先週代金の一割を手付金として支払いました。ところが今朝、突然大家さんから電話があり、「もっと良い条件で買ってくれる人が見つかったからこの話は無かったことにして欲しい。預かってる手付金は倍にして返すから。ごめんね」と言われました。もし他の人に売られてしまったらこの家を出ていかなければならず、途方に暮れています。何かいい方法は無いでしょうか。
A:家主さんが手付け倍返しで契約を解除できるのは、”相手の一方が契約の履行に着手するまで”とされています。今回のケースで、契約の履行に着手する、ことの具体的な意味は以下の通りです。
売主の場合:登記関係書類を揃えた上で、買主に土地・建物の引き取りを催促する
買主の場合:全部の代金額を用意して直ぐに支払えるよう準備した上で、売主に引渡しの催告をする
ところで手付けの倍額は、実際にはまだ受け取っていないのですよね?
Q:はい。電話で言われただけです。
A:それであれば、直ちに残りの9割全額を用意して、家主さんに登記関係書類の引き渡しを要求します。そうすることで、「手付け倍返し」による解除を一応阻止することが出来ます。
Q:えっ、残り9割全額を直ぐに用意って・・・、そんな大金、急には無理ですよ・・・。
A:それは困りましたね。後、売買契約書はきちんと交わしていますか?
Q:契約書とかそんな堅苦しいものは作っていません。大家さんとの口約束で決めた事です。
A:通常、不動産取引が口約束で行われることは滅多にないので、契約書が無い事はマイナスになりますね。手付けを支払った際の領収書はありますか?
Q:長年の親しい間柄なので、現金を手渡しただけで領収書などはもらっていません。
A:契約書も領収書も無いのですか・・・。であれば、そもそも売買契約が成立している事を示す証拠が無いので、かなり不利ですね。今、大家さんが他の人に登記を移転してしまったら、先に土地建物の移転登記を得た買主に所有権が認められるので、あなたは家を明け渡さなければいけなくなりますね。
Q:そんな・・・。残り9割の現金を準備する以外に何か方法は無いですか?
A:大家さんが他の人に登記を移転出来ないよう、処分禁止の仮処分命令を裁判所に出してもらうという方法もあります。この仮処分命令があれば、その後に大家さんが他の人に登記を移転したとしても、あなたが移転登記を命じる判決を得ることが出来れば、他の人への移転登記は抹消され、あなたが所有権を主張できます。ただ・・・
Q:ただ?
A:仮処分命令を得るためには、一般的に、契約金額の20%程度を保証金として供託するように命じられます。今回の場合は、契約書も領収書も無いので、保証金の額は20%より高めに設定される可能性が高いですが・・・その金額の準備は出来そうですか?
Q:手付金だけでも精いっぱいだったので、20%や30%の現金を直ぐに用意するのは無理です。
A:それなら大家さんに直接会って、現状を説明し、ひたすら説得するしか無いですね。
同時に、他の物件も探し始めた方が良いと思いますが、何か他に良い方法があるかも知れません。
こちらでも色々調べてみますね。
