- みつば行政書士事務所
契約違反があれば即賃貸借契約を解除する、という特約は有効?
こんにちは。行政書士の瀬野です。
今月はたくさんブログ書いてるな~と思って管理画面を見たら、まだ5本しか書いていませんでした><
そして話題は突然変わり、阪大が最近作ったロボット「Affetto」、見た目が相当怖いです!
不気味の谷に真っ逆さまですね。(不気味の谷についての解説:ロボットを人間に近づけていくと共に親近感も増していくけれど、ある時点で人々は何か気持ち悪い・・・と強い嫌悪感を抱いてしまう。ところが見分けがつかないくらいに人間とそっくりになると、嫌悪感は消えていき、親近感の方が一気に上がる、という現象のこと)
さて本日は、「契約違反があれば即賃貸借契約を解除する、という特約は有効?」について解説します。
久々のQ&A方式で行ってみます。後半はサスペンス風味で仕上げてみました。
Q:大阪市内でマンション経営をしている藤田です。404号室の借主が契約違反を繰り返すので、契約書通りにいきなり解除しようと思いますが法的に何か問題ありますか?
A:契約違反とはどの様な?
Q:夜中まで騒ぐ、家賃を滞納する、などです。交わしている賃貸借契約書には、「家賃を一か月でも滞納した時、その他本契約条項にひとつでも違反した場合、何らの催告なしに本契約を解除できる」と定めています。そこで、解除の通知を内容証明で送りつけようかと。
A:無催告解除ですね。今回の場合、家賃を一カ月滞納しただけで無催告解除が出来るかというと、それはかなり難しいと思われます。契約書に書いたから何でも出来るという訳では無いのです。
通常、以下の流れです。(民法541条)
1)家賃の滞納が発生
2)家主から支払いの督促
3)それでもなかなか家賃を払わず滞納が数か月分となり、契約不履行状態になる
4)家主は賃借人に「相当の期間を定めて履行するように催告」する。
5)それでも支払いが無い場合、ここで解除権が発生する
Q:いえいえ、そんな何カ月も悠長に待っていられませんよ。サッサと出て行ってもらって次の人入れたいですからね。
A:そうですか・・・ちなみに404号室の方、いま何ヶ月分くらい滞納されていますか?
Q:2か月分です。
A:だとやはり無催告解除は難しいですね。
判例では、「催告を要しないほど不合理な事情がある場合、無催告解除は有効である」としています。
具体的には、信頼関係を破壊するほど悪質な賃料不払いがあるケースで、もっと分かりやすく言うと、特に何の理由も無いのに「半年以上」家賃を滞納するような場合です。
Q:うーん、半年も待つとか勘弁してほしいですね。他にサッサと出て行ってもらう方法無いですか?
A:例えばですが、その404号室の人が行方不明になり連絡がつかなくなってしまった場合は、無催告解除が可能となるでしょうね。裁判上で解除を行い、明け渡しの強制執行手続きを行うといったケースです。でも404号室の人と普通に連絡取れているのですよね?
Q:えっ、まぁ、今のところはね・・・。取れてた?かな・・・?
A:藤田さん?何か妙なことを考えていませんか?(>_<)
Q:行方不明か・・・。なるほど。音信不通・・。
A:藤田さん? 2か月分の家賃滞納で何かとんでもない計画を想像するのはやめてください (>_<)
Q:いや冗談ですよw もうしばらく様子見てみます。
A:安心しました。契約書の内容も、折を見て見直した方が良いでしょうね。
