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  • 執筆者の写真みつば行政書士事務所

交通事故の損害賠償額、どうして男女間で差があるの?


こんにちは。行政書士の瀬野です。

先日、グランフロント大阪のナレッジキャピタルで、スマホのVR体験イベントに参加したのですが、

これって何だか既視感があるなぁ・・・と思いながらの帰り道、そうか!「セカイカメラ」と同じだ!!と思い出しました。セカイカメラとは、2009年に公開されたスマホアプリで、ユーザーの位置情報をもとに、スマホのディスプレイ越しにお店などへのコメントやタグ付けができるサービスでしたが、現在は終了しています。2009年の時点では、iPhone越しに色んな人が残したエアタグが街中に浮遊しているのを見て、何て未来感があるアプリなんだ!と感動していましたが、今では特に珍しくないサービスですよね。そう思うと、ここ10年のVR・AR技術の進歩と一般への浸透度の流れの速さを実感します。

その反面、こうした進歩に興味はあるけど難しすぎて付いていけないといった層もあり、最新のICT技術を利用できる層と利用できない層との間には少なからず格差が生じています。こうした現象は「デジタル・ディバイド」と呼称され、数年前から総務省もその解消に向けた取り組みを実施している様です。

 

さて本日のご相談は「交通事故の損害賠償額、どうして男女間で差があるの?」です。

憲法では男女平等が認められているはずですが・・・・。早速見てみましょう。

Q:同じ事故で死亡しても、男児と女児では損害賠償額にかなり差がつくと聞きました。これは本当なのでしょうか?

A:結論から申し上げると、格差が出る可能性が高いと言えます。

交通事故で負傷したり死亡した場合、その治療費や慰謝料の算定の段階では男女とも同じなのですが、大きく差がついてくるのは「死亡しなければこれから得られるはずであった逸失利益」の部分です。

男女雇用機会均等法があったとしても、日本においてはまだまだ男女間の賃金には大きな格差があります。

男性を100とすると、女性の賃金は残念ながら60以下であることが統計(賃金センサス)でも明らかになっています。交通事故や生命保険などで逸失利益を算定する場合、全国の労働者の平均賃金統計である「賃金センサス」より、「男女別の賃金センサス」を収入の基礎として算出された結果、格差が生じているという訳です。

Q:それって、ちょっと不公平ではないでしょうか。女の子も、将来高収入の職業に就く可能性もあるわけですし・・・。

A:確かにそうですね。最近では、従来の男女別の賃金センサスではなく全労働者の平均賃金を用いて女子の逸失利益を算出した判例が出される傾向にあります。

*根拠判例:東京高裁平成13年8月20日判決 大阪高裁平成13年9月26日判決


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