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  • 執筆者の写真みつば行政書士事務所

交通費を浮かす為、自転車通勤している社員がいます


こんにちは。行政書士の瀬野です。

昨日は、高難易度の案件にやっと目途がつき、一安心しました。依頼された時には見えなかったややこしい事案が複数絡んでいて、一瞬諦めかけましたが色々手を尽くして調べつつ、何とか乗り越えました。初めてのジャンルでしたが、今回関わったことでかなりノウハウが得られたので、また似たような案件来たらいいなぁと思います^^

 

さて本日のご相談は「交通費を浮かす為、自転車通勤している社員がいます」です。

早速見てみましょう。

Q:昨日の朝、隣の部署の同僚Aが自転車で通勤しているのを目撃しました。彼にも通勤交通費が支給されているのに、自転車で通ってそのまま交通費をもらうのってどうなんですかね。横領じゃないんでしょうか?

A:その勤務先における、交通費の支給基準の有無によって変わります。

まず、自転車で通勤していたとしても交通費を返還しなくても良いケースから説明します。

《支給基準があるケース》

たとえば、「会社の最寄り駅と自宅の最寄り駅を結ぶ公共交通機関の1カ月定期券代相当額」などというように、実際にはどの交通機関を利用しているかどうかに関係なく、従業員の自宅から想定される合理的な金額をあらかじめ会社で決めている場合があります。この場合は『賃金』とみなされますので、実際には、徒歩通勤をしたとしても、返還の必要はありません。ただ、この様に決めている会社は少ないでしょう。

《支給基準がない、実費支給のケース》

この場合は、実際に従業員が利用する交通手段に従って、実費相当額を支給するというものです。ほとんどの会社がこの様に規定していると思います。したがって、もし自転車で通勤しているのであれば、電車通勤をしたことを前提とする交通費の支給は受けられないのが原則です。

法的には、民法703条の『不当利得の返還義務』により、実際に使用しなかった交通費相当額は会社に返還する必要が生じる可能性があります。

Q:支給基準があるかないか確かめたらいいのですね。と言うか、うちは通勤ルートを申請してそこから定期代を支給ってパターンだから、後者の実費支給のケースです!じゃあ同僚は今までの交通費を返さないといけなくなりますね。早速総務にこのことを伝えないと!!

A:その同僚の方をあまり良く思っていない様ですね。今回ご説明した内容は一般例なので、その会社ごとに個別の規定があるかも知れません。

そうはいっても、やはり電車やバスで通勤すると申告しておきながら、実際には自転車や徒歩で通勤して交通費を浮かすのは、通勤手当の不正受給に該当します。また、就業規則のなかに懲戒の事由と種類が明記してある場合は、通勤手当の不正受給により懲戒処分を受ける可能性も高くなります。気軽な気持ちで徒歩や自転車通勤を続けていると思わぬ事態になるかも知れません。


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